3日後に書くブログ

映画を観た約3日後に感想を書きます。あとは好きな俳優への愛の吐露

『マクベス』を観て3日後に思うこと/ただの愛の吐露

マクベス』(原題:Macbeth)2016年5月24日(火)T・ジョイ京都シアター5にて字幕で鑑賞です。このスクリーンすごかった、2人掛けの脚が伸ばせるボックスソファーが12台というなんとも贅沢なつくりでした。

 

以下映画の内容に触れるため、ネタバレしています。ご注意ください。

 

いちばんの感想は「マイケル・ファスベンダー、なんと素晴らしい俳優だろうか!」です。わたしはふぁす主演の映画を観るたびにこう思って打ちひしがれているなあ…。彼の演技を見れば見るほど、すべての映画はこの人の演技を見るための外枠にすぎず、この人の演技こそが映画をつくる意義なのではないか、なんてことを真顔で考えてしまいます。

恥ずかしながら、わたしはこれ以前にマクベスを観たことがなかったのですが、彼が演じたからこそこの映画のマクベスが生まれたのだろう、ということはよくわかります。気の狂った男を意志の強い瞳で演じることと、底なしの憎しみと絶望を微笑みで表すことにマイケル・ファスベンダーより長けている俳優はいないと思っているので……。彼が演じる堕ちていく男は、麗しく憎らしく脆く強く儚くて、目をそらしたくなるほど悲惨なのに最後まで見届けねばと観客に思わせるのです。そこには彼の演技によってしか存在しえない男の姿があります。

そんな彼の演技によってリードされる映画は、根底で強いエネルギーが静かに燃え上がり流れていることを感じさせました。ストーリーはご存知の通り、言うてしまえば血を血で洗う話なのですが、スコットランドの豊かな自然はまるでファンタジー世界のようで、流れ続ける人血はただの血液以上のものを思わせます。個人的には、冒頭の男たちの雄たけびと燃え浮かび上がるシルエットを見てすぐに「あ、この映画すきだ」とピンときました。全体的に、「厨二心くすぐられる演出詰め」みたいだった…。

もちろん、キーパーソンであるレディーマクベス役のマリオン・コティヤールや、宿敵であるマクダフ役のショーン・ハリスなど、脇を固める俳優たちの演技も良かったです。個人的にはマクベスに仕えた後に殺されてしまうバンクォー役がだいすきな映画『パレードへようこそ』のダイ(パディ・コンシダイン)だったので、おおこんなところに!と思いました。その瞳でマクベスをどのように見ていたのか、ほんとのところはわからないバンクォーも、その姿に囚われ続けるマクベスも、どちらの演技も素晴らしかったなあ。あ、あと、舞台が基ですから登場人物のセリフには独白があります。映画で人物が一人喋りをするのは、なんだか逆に新鮮に見えるなあと思ったりもしました。

 

最後にもう一度、これは愛の吐露になってしまうんですけど、映画『スティーブ・ジョブズ』を観た後の自分のツイートがふぁすに対するわたしの気持ちを正しく表しているなあと思ったので引用しておきます。

「ふぁすの魅力は~なんて大それたことは言えないけれど、ふぁすはいつも難しい役を選ぶなあと思うし、たまにはただのイケメンを演じればいいのにとも思ってました…でも結局なにを演じてもつまらない顔だけ男にならないのは彼の演技力の賜物で、サイコを演じても魅力的なのは彼の美貌の賜物で、どちらも備えていてあの素晴らしいマイケル・ファスベンダーという俳優なんだなあ、と改めて思います。」

あああ、あいがおもい。